『MASAMI DESIGN』 カレンダーキューブ (1999年~)

クライアント:有限会社マサミデザイン

このカレンダーは、視覚に障害を持たれる方もそうでない方も共に使用出来るカレンダーです。

株式会社サンイチ工藝社の点字部門株式会社ブレイルコムより点字印刷宣伝用の、はじめお年賀で配られるカレンダーとして、デザインの御依頼を受け、髙橋がデザインを担当し誕生しました。

デザインを行う上で考えた事は、より多くの人が使えるカレンダーとなるよう、触っていることで様々な事をイメージし、相手の立場に立って物事を考える事、そして存在そのものがユニバーサルな意識を持ち、沢山の人の立場に立って、ものごとに触れられる社会を目指して、制作をしました。

そのような考え方を基に、ユニバーサルデザインという言葉がまだ日本にない20世紀の終わりにデザインしたカレンダーキューブは当時、「なぜ視覚に障害を持たれる方々向けの物に、見た目の色や形、数字にまでこだわるのか」と、個人の表現と、間違えた解釈をされてしまう時代でもありました。

しかし、形やサイズ、色、全てに意味があり、このカレンダーが構成されていきました。

組み立ては、はめ込みの際に「カチッ」という音がすることで、音でも組み立ての確認が出来ます。また、耳で楽しむ事の出来るCDが入るサイズであり、手の届く自由な場所へ置く事の出来る、掌と指のサイズに合った、点字も読み易い卓上サイズです。

数字のデザインや色の仕組み等、弱視の方、高齢の方、お子様、多くの方が使える様に考え、近い将来、健常者の通うお店等にこのカレンダーが売られる様になったなら、きっと5年後、子供が「お母さん、このカレンダーは、目の見えない人はどうやって使うの?」といった会話が自然に行なわれているであろう、と、このカレンダーが、カレンダーを超えて、社会に機能する事を願い、一つの部屋に二つのカレンダーが存在しなくても良い、視覚に障害を持たれる方とそうでない方が共に一つのものから会話が行なわれる近い将来を夢見て、デザインを行なったものでした。

表裏半年ずつの6面体としたことで省スペースにもつなげた、流行りすたりのない普遍的なコンセプトを持つカレンダーであり、現在は、小学生の教科書(※)にも登場するカレンダーとなりました。

東京書籍「新しい社会」小学六年生下巻、P28「ユニバーサルデザインって何だろう」
当時デザイナーという職業が初めて教科書で紹介されることとなり、髙橋登場のご依頼を頂きました。その際、 何か一つデザインをしたものを選び、掲載をするという事から、髙橋自身がカレンダーキューブ選び執筆を行なっています。
カレンダーキューブ登場後、「ユニバーサルデザイン」という言葉が数年後アメリカから入り、カレンダーキューブの概念をわかりやすく説明出来る頃に入った時期の出来事でした。

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