このカレンダーキューブは、視覚に障害を持たれる方も健常者も共に使用出来るカレンダーです。
株式会社サンイチ工藝社の点字部門株式会社ブレイルコムより点字印刷宣伝用のカレンダーのデザインの御依頼を受け、煖エ正実がデザインをして誕生したものです。
デザインを行う上で考えた事は、より多くの人が使えるカレンダーとなるよう、
触っていることで様々な事をイメージし、相手の立場に立って物事を考える事、
そして存在そのものがユニバーサルな意識を持ち、共通の意識でものに触れる事を目指して、制作をしました 。
そのような考え方を基に、ユニバーサルデザインという言葉がまだ日本にない
20世紀の終わりにデザインしたカレンダーキューブは当時、
「なぜ視覚に障害を持たれる方々向けの物に、見た目の色や形、数字にまでこだわるのか」
と、まだなかなか理解されない時代でもありました。
しかし、作るもの、デザインをするものが、社会の問題解決策として存在すると考え、デザインの可能性を信じて、社会へ提案したものです。
組み立ては、はめ込みの際に「カチッ」という音がすることで、
音でも組み立ての確認が出来ます。
また、耳で楽しむ事の出来るCDケースも入るサイズであり、
手の届く自由な場所へ置く事の出来る、掌と指のサイズに合った、点字も読み易い卓上タイプ。
数字のデザインや色の仕組み等、弱視の方、高齢の方、お子様、
多くの方が使える様にしています。
点字を透明インキで刷り、また表裏半年ずつの6面体としたことで省スペースにつなげた、
流行りすたりのない普遍的なコンセプトを持つカレンダーであり、
現在は、小学生の教科書
※にも登場するカレンダーとなりました。
※東京書籍「新しい社会」小学六年生下巻、P28「ユニバーサルデザインって何だろう」
煖エ自身が登場し、カレンダーキューブを使って「ユニバーサルデザイン」をわかりやすく説明しています。
この時、デザイナーという職業が初めて教科書で紹介されました。